予約困難な渋谷の居酒屋「酒井商会」が、パワーアップして広尾に「創和堂」をオープン!
九州から来た、サーファーボーイ
酒井くんに出逢ったのは、夜中の「あつあつリカーリカ」、学芸大学だった。レコステ、ブレッサン、ダミアン、ストッパ、カステッラーダ。目の前に開けられているグラスワインを、端から端まで試している坊主頭の少年。
もちろん、本当はもう立派な大人だけど、サーフィンで鍛え上げられた身体と礼儀正しさは、運動部の学生みたいだった。
「酒井です」、貰った名刺には酒井商会の文字。オープンと同時に渋谷の人気店になった割烹居酒屋だ。
「あの酒井商会の⁉︎」と言うと、爽やかな笑顔で頷く。あの夜の彼をなぜかいつまでも忘れられない。ほどなくして店は予約が取れなくなり、厨房とホールの2人は横浜・野毛の「金井商店」、ソムリエは白金台の「salt & plum」と次々に独立していった。
やがて、酒井くんは、より大きな舞台を求めて2号店を計画。運良く、素晴らしい物件にも出会い年末には契約。しかし、街にはウイルスの季節がやってくる。年明けから集まり始めた新店のスタッフと、テイクアウトとデリバリーに力を入れながら、収束の時を待った。
たくさんの夢が羽ばたいていく場所を
そして、7月。多くの人たちの祝福の中、満を辞して「創和堂」がオープンする。訪れる人のほとんどは、「酒井商会」で料理と店の雰囲気に魅了された酒井ファンたちだ。客ばかりではない、今回、彼の脇を固めているスタッフたちも、渋谷の店で彼の味に惚れ込んで応募した人ばかりだと言う。
広い店内で多くのスタッフが、それぞれの持ち場で働く新店舗。その一人ひとりが、やがては一国一城の主人になるべく「創和堂」の門を叩いた。
「まだそんなに経験はないけど、とにかく頑張りたい。頑張って、将来は自分の店を持ちたい。そんなコたちが育って行く場所を作りたかったんです。それには大きい店しかないと思った。ここだと、揚げ場、焼き場、煮方、刺し方とあって、役割分担も分かれているから人を育てやすい」
コロナという大変な時期に、やがては独立したいという想いで頑張ってる人たちを応援したい。「創和堂」は彼らの思いを抱きしめる夢の揺籠だ。
数々の九州料理を九州屈指の食材で。
今回、お通しで出されるのは福岡の朝食の定番でもある「おきゅうと」。「酒井商会」の人気メニュー、霧島ハムのハムカツのほか、唐津から届く放血神経〆の魚たちや、宮崎の「黒岩土鶏」など、貴重な九州の食材たちがたくさん揃っている。
9月からは、熊本から待望の「井さんのあか牛」も届くと言う。
とびきりの食材たちを前に、ますます冴え渡る酒井くんの包丁と、彼を支える最良のスタッフ。40坪ある「創和堂」の店内は早くも人が創る和のグルーヴで一杯になっている。
広いからこそのゆとりある、決して向かい合わせがない席、強力なダクトと徹底した衛生管理。この季節だからこそ、店の持つ力が問われる昨今。今いちばん旬な店の現在を見守りたい。道路を隔てて超人気店「coyacoya」もある、限りなく恵比寿に近い、広尾のこの界隈から目が離せない。
創和堂
東京都渋谷区広尾1-12-15リバーサイドビル1F
TEL:080-8040-4822